ホンダスーパーカブ:説明する必要がないくらい世界中の人に愛されているバイクです。長い間の鉄板カブの時代を経て今はプラスチックが多用されるスーパーカブになりました。利用目的も仕事や生活の為という理由が多かったですが、現在はファッションとしてカブに乗っている人も多いですね。kindle unlimitedもその影響か他の車種ではありえないくらいスーパーカブ関連の本が出版されています。今回はその中から3冊程選んでレビューしたいと思います。まだまだあるので続編2も3冊書きます。
スーパーカブが登場している本のレビュー kindle unlimited
kindle unlimitedで検索してみるとスーパーカブが題名に上がっている本が多数あります。主にメンテナンス関係、、ガイドブック関係、ツーリング関係が多いです。小説は圧倒的に少ないです。今回は小説の超大人気作品「スーパーカブ(1) (角川コミックス・エース)」と変わり種の「カブに乗って: 優しい人たちとバイクと車のはなし」と、ツーリング関係から「きもちのおつかい #1: スーパーカブ日本一周の記録の三冊」を簡単に紹介したいと思います。
スーパーカブ(1) (角川コミックス・エース)トネ・コーケン(著)
kindle unlimitedでスーパーカブを検索すると真っ先に出てくる作品。スーパーカブのガイドブック的なものを除いて一番人気の書籍じゃないかと思います。全8巻で紙の本が現在予約中になっています。今回はとりあえず1を読みました。
こんな人に読んでほしい
- なんとなくスーパーカブに興味がある人
- 毎日同じことの繰り返しの日々から脱却したい人
- 新しいことに挑戦しようとしている人
本の概要
クラスでも目立たない高校生の女の子がスーパーカブと出会い世界を広げていく話。最初ひょんなことから手に入れるのですが、だんだん生活がスーパーカブとの時間に染まっていきます。スーパーカブに乗ることで世界を広げていく主人公、その中で出会った人との出来事や日常のトラブルを乗り越えていきます。そしてだんだん逞しくなっていく主人公。登場人物のスーパーカブへのセリフから著者のスーパーカブへの想いが感じられます。私もスーパーカブに乗っていたことがありますが(主人公の同タイプの70㏄)スーパーカブを乗っていた時の記憶がありありと思い出されました。主人公の友達の礼子は三好礼子さんのイメージと重なるところがありました。読後はとても懐かしく甘酸っぱい気持ちになりました。
心に残った文
ペットとか扶養家族を持つとはこうゆう気分なんだろうか
スーパーカブを所有していたひとならわかる気がする表現です。確かにスーパーカブは生き物の気がします。生き物というより意思を持っているように感じます。メンテナンスもバイク店任せではなく自分でする人も多いです。メンテナンスもお世話をしている気がします。あんまり乗っていないとカブが寂しがっていると感じることもあります。これも皆が思うことなんじゃないでしょうか。
カブをお部屋で遊ぶオモチャか何かだと思っている子供と一緒にされたくはない
この文は、親にスーパーカブを買ってもらった高校生の路上トラブルを助けてあげた時のセリフです。助けてあげた後、このカブの事は何も知らないでカブへの愛情が感じられ無い高校生から食事に誘われますがお断りします。主人公のカブへの思い入れの強さが伺えます。それだけじゃなくて恵まれた環境の相手高校生へのコンプレックスもあったんじゃないでしょうか。最近のスーパーカブブームでも同じような構図ができあがっていると思います。ファッショナブルなC125、CT125やクロスカブに乗りゴープロやナビその他諸々の電装部品を後付けし、youtubeやXにアップロードしてFACEBOOKで知り合った人とオフ会をする。片や昔からほとんど一人で活動し、キャブのカブから良くてただのC110(スポークまで)に乗り、時々ソロキャンプに出掛けるようなタイプの人からすれば今のカブブームから乗り出した人はこのセリフと同じような気持ちかもしれませんね。
きっとそれはカブの数だけある違い
主人公と友達の礼子のカブに対する思い入れの違いを書いた文。主人公と友達礼子はカブを通して仲良くなったものの方向性が同じというわけではない。主人公:道具 友達礼子:大事に愛でるぬいぐるみ。ただ最後まで読み終えた今は主人公もカブのことを大事に愛でるぬいぐるみ以上のことを思っているはずということはこれから読まれる方も感じることでしょう。二人にとってスーパーカブは宝物以上
最後に
またスーパーカブに乗りたくなってきた。何気ないショルダーバックに水筒と本をフィルムカメラを入れて、喫茶店に行ったりその辺の公園に止めてコーヒーを飲む。それだけで楽しかったなと思いださせてくれる良書。若い人に読んでほしいけど昔カブに乗っていた人にも読んでほしい気がしました。

カブに乗って: 優しい人たちとバイクと車のはなし波風(著)
スーパーカブが出てく数少ない小説。スーパーカブだけということでなく、数あるバイクや車も登場し、結局はスーパーカブは素敵なんだなと思わせてくれる作品。時代背景はバブルの頃、関西中心。そのころの名車や音楽ファッションも出てきます。世界の中心で、愛をさけぶ片山 恭一 (著)に感動した人やハイポジ1 Kindle版 きら たかし (著) を夢中になって読んだ人は共感できる作品
こんな人に読んでほしい
- 昔の恋人や親友はどうしているかと気になる人
- バブルの頃が青春時代だった人
- 古いバイクや車が好きな人
本の概要
一人の高校生が紆余曲折を経て成長していく話。親友や恋人との楽しい思い出あり、涙あり、別れあり。そして最終的には分かりあい理解しあいお互いを大切にすることを知る。そしてそのそばにいつもスーパーカブがいたという話。スーパーカブだけじゃなくほかのバイクと車が出てくるのも面白い。特にSR400とランクル、ジムニーは何度も出てきた。舞台は大阪、淡路島、四国、九州、和歌山、京都などいろんな府県をまたいで話が進んでいきます。バブル絶頂からバブル崩壊まで。ジュリアナや平野ノラのような恰好をしたお姉さんが活躍していたいわゆる「バブル」と表現される典型的なイメージではなく、その頃の普通の若者の暮らしぶりや、元気いっぱいだった頃の日本の普通の人の生活もうかがえる本
心に残った文
「カチャン」というジッポの蓋を空ける音に二人は酔った
この表現は中年男性なら若かりし日、大人を気取っていた頃の気分に一気に引き戻されるんじゃないだろうか。タバコとバイクはセットだったような気がする。粋がっていた頃の象徴的な行動じゃないかと思いました。
あなたが本当に支えてあげないと人は恵ちゃんだよ
どっちつかずの二股状態になっている主人公に恋人が言った言葉。20代にありがちな出来事。ただこのセリフからは適当に遊んでの二股ではなくて青春時代の切なさが感じられた。
もうこんな生き方はやめよう
ドロドロの恋愛劇に嫌気がさした主人公が吐いた言葉。自分の不甲斐なさに罪悪感に苛まれている。人生のターニングポイントになる場面だが、この本ではそうはならなかった。それ以後も主人公の苦悩は続いていく。
そして話がしたい。ただ話がしたい
いろんな事情で疎遠になってしまった幼馴染の友を思う文。疎遠になった事情が自分にも相手にもあり、主人公は自分を責めていたが、時間がそれを解決してくれて、ただただ純粋に相手に会いたいという文。読む人の環境にもよりますが、これは私の心にとても強く強く残った文です。この本の全体を表現するとこうゆうことになるのでしょう。
楽な姿勢で、ゆっくりと、シフトチェンジしながら生きればなれるよ
紆余曲折あり、主人公と親友はまた友人としての関係が始めるが、主人公がお互いの人生を振り返り、とてもやさしい人たちに恵まれていたなと感じた時に親友に語りかけ自分も。そうなりたいと言った時の親友のセリフ。親友はいろんな苦労を乗り越えて今はそんな心境で生きている。お互い今度は優しい幸せな大人になろうよという気持ちの表れている文。
カブでサーティワンに連れて行って
思春期真っ盛りで口も利かなくなった娘が、主人公が親友と再会し、お世話になっていた人との別れ、家族の不和を乗り越えて人間的な父親になり、それを感じた娘の心が開いた瞬間の言葉。この文章を読みながら涙が出ました。
最後に (映画化希望)
この本を読み終えて思ったことは、題名からはカブの話かと思いましたが、それよりもっと深かった。とても深い。映画化して欲しいと思いました。登場人物を勝手に決めると江口洋介、福山雅治、緒方直人、阿部寛 反町隆、草刈正雄、舘ひろし、宇崎竜童 役所広司、奥田瑛士、西田敏行、武田鉄矢、小林薫、泉谷しげる。女優では松嶋菜々子、森高千里、大塚寧々 岩城滉一 各人の若いことは今の人気俳優から。主人公は菅田将暉で親友は竹内涼真、友人は佐藤健、いとこのお兄ちゃんは妻夫木聰主、人公が付き合う年上の女 吉岡里穂 二股になっちゃう相手は有村 架純。主人公の現在の妻は石田ゆり子とっても楽しみ。映画化されたら何回も観に行くと思います。
きもちのおつかい#1: スーパーカブ日本一周の記録a5e31022(著)
スーパーカブの本でよくあるツーリング関係の本です。でもこの本は日本一周していること、メカやメンテナンスに詳しくない失礼な言い方をすればカブメンテの素人が行動力とアイディア、出会いでいろんな苦難を乗り越えるところが読み応えあります。
本の概要
著者は教員を辞め、夢だった日本一周にカブに乗って出発します。191日間。写真が多く記録としての文章が多いですが、時折、著者のこころの声が書かれています。これが「きもちのおつかい」という所以でしょう。地図や食べ物、メンテナンスの写真が多いです。この本はとても元気な本です。
こんな人に読んでほしい
- 元気になりたい人
- バイクに乗り始めたばかりだけど日本一周に行きたい人
- 各地の写真が見たい人
- 人生のターニングポイントに差し掛かっている若者
心にのこった文
旅のテーマソングは「星になれたら(ミスチル)」「もっと遠くへ(レミオロメン)」「果てない空(嵐)」
著者の気分になりたかったのでとりあえず聞いてみました。星になれたら(ミスチル)は知っていたので聞きませんでした。もっと遠くへ(レミオロメン)これは著者の現在の状況、教職を辞し旅に出るにぴったりな歌詞だと思いました。とても良い曲です。何か迷いを吹き飛ばしてくれるような曲です。果てない空(嵐)はちょっと違うなと思いました。著者は再度教員採用試験を受けて向かうべき道が決まっているからです。余計なおせっかいですね(笑)そんな今の期間限定で旅に出るスタイルの著者にお勧めなのはイージューライダー(奥田民生)です。
キャリアとタイヤの軸をささえる棒(なんていうの?)
これには驚かされました。ショックアブソーバーです。そしてそれぐらいの知識で日本一周に出た著者に脱帽です。ほんとに行動力があります。普通だったら、「途中で壊れたらどうしよう?」「エンジンがかからなくなったらどうしよう?」そんな不安で出発をためらう人も多いと思います。それでも著者はグイグイと行動します。今何をされているかはわかりませんが持ち前の行動力でいろんな経験をなされて充実した人生を歩まれていると思います。私も見習いたいと思いました。
よくわからない感情で、何故だか涙が溢れてきます
この文章を読んで私も何故だか涙が溢れてきました。わかる!わかる!といった感じです。バイクでずーっと走っているといろんなことが頭に浮かんでは消え、浮かんでは消えします。いつの間にか感傷的になってその時、知らない場所誰もいない場所にいるとこんな気持ちになるのは幾度も経験しました。著者のこの表現にすごく共感できました。
当たり前な日常の安心感を、今更ながら感じています
これって非日常でなければ感じることのできない大切な経験。「あぁ幸せだったんだな」
そう感じただけで日本一周にでた価値があったんじゃないでしょうか。ほんとに日本一周はいろんなことを感じさせてくれて人間的に忘れている感情を感じさせてくれるんだなと思いました。
最後に
この本はアマゾンのレビューを読んだ時、「あぁブログをまとめただけかも」と思って読み始めました。読んでいくうちに著者の持ち前の明るさ、行動力にどんどん元気が出てきました。心の内面を綴った文を読みとぐっとこみ上げるものがあり、普通のツーリング関係の本にはない緩急のついた内容に心をつかまれました。良い本をありがとうございます。いつかバイクで日本一周って思います。バイクに乗る誰もが思った事があるんじゃないでしょうか。でも行かないと始まらないですもんね。と書きながら自分にはっぱをかけていいる最中です。自分にとってはそれぐらい影響のあった本です。
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